7月28日21時18分
底知れぬソープのパワー シドニーの反省生かす

ラスト50メートル。ソープは、隣のコース、米国の短距離2冠王、アービンに体半分リードされていた。四百メートルメドレーリレー。前日の百メートル自由形と同様「追いつけないか」と思われた。
25メートルをすぎ、差を縮める。195センチの体で、手を伸ばした。最後は際どいタッチの差。アービンの引き継ぎが速すぎ、米国は失格となったが、18歳の怪物が、底知れぬパワーで差し切った事実は残った。
「ゴールタッチは、何千回も練習したんだ。ベストを尽くして結果が出てうれしい」。今大会、予選、準決勝を含めて13レースを終え、6つ目の金メダル。ソープの笑顔が輝いた。
昨年のシドニー五輪の反省がある。地元の期待が重圧になり、風邪をひいて体調を崩した。個人種目は金メダル1個。「多くのことを学んだ。あれから人間的にも成長した」と話す。
今大会は、7日間で7種目をこなして勝つためのスケジュールを頭に入れ、チーム全体が体調管理に努めた。栄養士、心理学者ら、12人の医科学スタッフがソープを支えた。
デビュー以来、スランプを知らない。「順位はほかの選手次第。自分では決められないから、全力を出すだけ」。周囲の注目の高さにも、全く迷いはない。福岡での「ソープ狂想曲」は幕を下ろした。天才児は、どこまで進化するのだろうか。

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