7月29日20時41分
偉大な記録をついに破る ハケットにキングの誇り

男子千五百メートル自由形で、ハケットがラップを重ねるにつれ、世界記録との差が広がり、場内の歓声が大きくなった。
14分34秒56―。「キング・オブ・スイミング」と呼ばれる偉大な記録を7年ぶりに破った。ハケットは「ついにやった」と叫んだ。マイクを持って質問したのはオーストラリアのテレビ局の解説者で、その瞬間、「元世界記録保持者」になったキーレン・パーキンスさんだった。これまで乗り越えようとして、何度もはね返された母国の英雄の壁をついに崩した。
500メートルで世界記録よりわずか0秒22しか速くなかった。それが600メートルでは1秒06へ。ぐいぐいと飛ばし、最後は7秒10も上回った。ハケットが打ち明けた。「ずっと前に、パーキンスさんから『途中の500メートルから眠るな』とアドバイスを受けた。その言葉はいつも心にあった」
ハケットは、バルセロナ、アトランタ両五輪を連覇したパーキンスさんを、シドニー五輪で破って優勝した。「でも、あのときはいい結果ではなかった。今やっと、世界記録を破る力があることを証明できた」と、名実ともに世界一を喜んだ。
゛怪物″ソープも祝福に駆けつけた。「もし、ソープが挑戦してきたら」と、記者から意地の悪い質問が飛んだ。ハケットは「この種目はちょっと違う準備が必要なんだ。それにほかにも強い選手がいるから」と、キングの誇りを持って答えた。

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