7月21日21時40分
世代交代で2位キープ

持てる力のすべてを出し切った。テーマの「侍」になりきった、8人の乙女たち。満員の観衆の手拍子に乗って「戦い、休戦、戦い」というドラマを演じきった。
昨年のシドニー五輪で銀メダルを取ったメンバーから、残ったのは2人だけ。世代交代期に差しかかり、力の落ちた日本だが、2位を死守して「日本強し」というイメージを持続させる使命があった。
五輪後に指揮を執った友松コーチら、経験の浅い指導陣で、その課題をクリアした。この日は、友松コーチの29歳の誕生日。「先生が喜んでくれる演技をプレゼントしたい」(巽)という願いを果たし、選手たちはコーチの首に銀メダルを掛けた。
友松コーチは「技術面ではまだまだ未熟」と評する。演技構成は、4度のリフトで派手に見せながら、難易度の高い動きは少ない。優雅さを表現するのに欠かせない、身体的強さも不十分だ。この日はリフトが十分に上がらなかったり、隊列がずれたり。得点も予選のフリールーティンを下回った。
「シンクロは、築き上げたものは絶対に失ってはいけない。(2位で)よかったと言うより、大変なことを背負った」と、日本水連の金子シンクロ委員長は話す。
チーム結成から、約8カ月。控えがいない中、合宿中に選手がはしかにかかったこともあった。苦しみながらつかんだ銀メダル。アテネ五輪へ向けた戦いがスタートした。

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