7月20日21時55分
芸術点で4人が10点 日本ペア、完璧な演技

立花と武田の2人は、これまでのシンクロ人生のすべてを4分間の「小劇場」にささげ、完ぺきな演技で世界の女王の座に就いた。2位に終わったシドニー五輪の「忘れ物」も、ようやく届いた。
日本水泳界で初めての世界選手権優勝。「シドニーが終わってこれを目標としてきたので、実現できてうれしく思います」。内容は冷静に聞こえるが、立花の口調は珍しく震えていた。
緊迫するスタート。2人が水の中に飛び込んだとき、後ろ手で仁王立ちになった井村コーチは勝利を確信した。「あの足の切れ。これはいくと思った」。芸術点では10点が4つも出た。残るロシアのペアの結果を待つまでもなかった。
デュエットは傑出したエースに、どんな相方を選ぶか、がカギになる。4年前の日本選手権後、シドニー五輪を目指した井村コーチは、立花の新しい相手に武田を選んだ。何とか遅れまい、とする武田が、立花との一体感を得たのはその2年後だった。
高い身体能力とともに難易度の高い技を繰り出す。そんな狙いで臨んだシドニーは、ロシアの壁を崩せなかった。世界一を狙った今回はパントマイムの要素を取り入れ、これまでにない演技構成で挑んだ。
2人は小さいころ、井村コーチを慕って、クラブを移籍した。井村コーチは、この2人なら世界一を取れると思った。優勝が決まった瞬間、抱き合った師弟は、世界で一番強い「3本の矢」になった。

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