7月24日20時43分
コーチに感謝したい 伝統の種目で銅の寺内

男子3メートル板飛び込みの銅メダルを手に、寺内が誇らしげに「重たいですね」とつぶやいた。五輪では1908年ロンドン大会から実施されている伝統の種目だ。歴史の重みに、声が少し震えているように感じられた。
5回目を終えて4位。わずかな差に上位がひしめく混戦の中、最終6回目を鮮やかに決めて中国の強豪、彭勃をわずか0・09点上回った。「だれかの言葉ではないが、自分で自分をほめてあげたい」。そしてすぐに「コーチに感謝したい。崇英先生なしに今の自分はない」と続けた。
このメダルは、中国出身の馬淵崇英コーチとの二人三脚が実ったものだ。選手として一流になれなかった同コーチは、日本で寺内という原石に出会った。その原石を磨くため、日本国籍を取得して付きっ切りで指導した。
寺内は中学2年で日本一となり、高校1年でアトランタ五輪へ。シドニーでは2種目で入賞し、東アジア大会を制した勢いで、今回ついに世界の表彰台に到達した。「今月でちょうど10年になる。ゼロから育てて世界の3番目だよ」と馬淵コーチは胸を張る。そして「まだ伸びる。次は五輪のメダル。世界一にならせます」と目標を大きく掲げた。
成長を続ける寺内は、まだ20歳―。

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