● 09/29 05:26

五輪発祥の地での障害者スポーツの祭典が閉幕した。
夏季大会では初めてオリンピックと同じ組織委員会が運営するなど、パラリンピック発展への改革が進む。
ただし共生、友好、優しさといった精神は変わらない。
「競争であり共走」-。
視覚障害者の男子マラソンで、保科清選手(57)=長野県=の伴走者を務めた沖山健司さん(39)はこう表現する。
「一緒にスタートラインに立ち、ゴールした時の達成感は忘れられない」。
普通のマラソンより距離が長いウルトラマラソンを50回以上も走ってきた市民ランナーで、視覚障害選手の「目」となり始めてからは約13年になる。
短いひもを握り合って2人がゴールを目指す。
「自然に接しています。
同じランナーとして、1人の人間として。
楽しいんですよ」。
沖山さんは伴走者サークルをつくろうと計画中だ。
パラリンピックの競技レベルは向上し、国や企業の支援を受ける選手も多くなった。
伴うように、ドーピング(薬物使用)違反も。
治療や体調管理とは別の、薬物による不正が増加している。
国際パラリンピック委員会(IPC)は、五輪と同様に厳しく対処した。
一方で、IPCのクレーブン会長は「独自性の維持が必要」と強調した。
パラリンピックの基本理念の一節に「選手の活躍を通じ、障害者が社会の活動的な一員であることを示す」とある。
障害者スポーツの改革と尊い精神は、アテネから北京へと引き継がれる。

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