08/21 04:20

劇的な逆転勝ちだった。
柔道女子78キロ超級の塚田が頂点に登り詰めた。
両手でガッツポーズし、喜びを爆発させると木村コーチと抱き合った。
「一つ一つきつい合宿をやってきたから、絶対負けられなかった」。
苦しさに耐えた気持ちを大舞台にぶつけた。
決勝のベルトラン戦。
背負い落としで技ありを奪われ、抑え込まれる。
万事休したかと思われた次の瞬間、体を入れ替えて後ろけさ固め。
「パニックになったけど、負けられない強い気持ちがあった」。
気迫ばかりでなく、どこにこんな器用さがあったのだろうか。
そう思わせる試合だった。
2位になった昨年の世界選手権の後、自信を持って臨んだ12月の福岡国際女子選手権では、無差別級を制したが、78キロ超級は3位だった。
これで自信を失いかける。
年が明けても焦りは消えない。
同じ時期、母校の東海大女子柔道部の白瀬監督から「照準はあくまでも(五輪最終選考会のある)4月だ」と再認識させられる。
気分転換が必要なことに気付き、大会のない1月は畳を離れ、ランニング、筋力トトレーニングに重点を置いた練習を続けた。
「あれでリラックスすることができた」と振り返る。
普段の性格は極めて優しい。
初めて全日本女子選手権を制した後でさえ、スランプに陥ると「柔道をやめたい」と思った。
そんな過去の自分に決別し、日本の女子で初めて、五輪最重量級の王座に就いた。
塚田には勝ち続ける姿が一番似合う。

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