08/30 05:27

起死回生を狙ったかかと落としの大技も空を切った。
テコンドー女子67キロ以上級の敗者復活1回戦。
シドニー五輪67キロ級に続くメダルを狙った岡本だったが、ひと回り体の大きなカルモナに対し技が出ない。
合計ポイントは2-5。
岡本のアテネ五輪が終わった。
国内統括団体の分裂騒ぎで消えかけた五輪だった。
日本オリンピック委員会の特例措置で出場にこぎつけた舞台だったが、1回戦で中国の強豪、陳中に完敗。
巡ってきた敗者復活戦のチャンスも生かせなかった。
「力は出せたような出せなかったような…。
勝てそうな気がしてたんですけど」。
持ち味のスピードを生かすため、一階級上げての五輪挑戦。
しかし、その壁は厚かった。
金漢老コーチは「相手のカウンターがうまかった。
相手が重くてもスピードがあるので十分いけるかと思ったが…」と完敗を認めた。
体格のハンディが、32歳のベテランに重くのしかかった。
米国留学時代にテコンドーに出会い、マイナー競技ゆえの悲哀を味わいながらも「好きだから」続けてきた。
派遣見送り濃厚だった今回の五輪では、近所の呼びかけから始まった署名活動が全国に広がり、世論が岡本の五輪出場を後押しした。
「こうして五輪にいかせてもらった以上は、自分には責任があると思う」。
岡本の思いをよそに、国内統括団体に歩み寄りの兆しはない。
無理につくった笑顔の瞳には涙がうるんだ。

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