欧米は冷めた視点 次回開催の英は複雑
五輪聖火リレーでの混乱やチベット問題などでの欧米とのあつれきを経て8日行われた北京五輪開会式。豪華絢爛(けんらん)なショーに対し、欧米各国のメディアは称賛ムード一色ではなく、冷めた視点での反応が広がった。
2012年の次回五輪を開催する英国ではタイムズ紙(電子版)が「ロンドン五輪の(演出の)ハードルは気が遠くなるほど高くなった」と指摘。関係者は、金も人も惜しみなく使った北京で開会式を複雑な思いで見守った。
ドイツでは人権問題を取り上げる記事も目立った。南ドイツ新聞(電子版)は、亡命チベット人らが、ネパール、ベルリンなどで実施した抗議行動を紹介。「北京での抗議の試みは失敗したが、世界各地でデモが行われた」と伝えた。
開会式を生中継したフランス国営テレビ、フランス2のコメンテーターは「今回の五輪ほど批判と応援の両方の立場から声が上がった大会はない。どちらの立場が正しいかは歴史が判断することになる」と述べた。ただ開会式の演出については高く評価。「誰が何と考えようとも、素晴らしい」とたたえた。
五輪に対する市民の関心が日本ほど高くない米国では、テレビ放映権を独占しているNBCテレビも開会式の同時生中継はせず、視聴率が上がる8日夕方にダイジェスト版を録画放送するにとどめた。
ただ、北京五輪を機会に中国への関心が高まっているのは確か。NBCテレビの司会者コナン・オブライエン氏は、北京市内の大気汚染をネタに「中国ではスモッグのことをミスト(霧)と呼ぶそうだ」などとジョークを飛ばした。(共同)
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