｢裏切り｣か｢誇り｣か米躍進支える中国人監督

【北京20日共同】北京五輪ﾊﾞﾚｰﾎﾞｰﾙ女子で､中国人の郎平監督率いる米国が勝ち進んでいる｡米国は監督の母国中国も破っており､中国国内では郎平監督をめぐり｢裏切り者｣か｢中国の誇り｣かの論争が起きている｡

米国がﾍﾞｽﾄ4進出を決めた19日夜の対ｲﾀﾘｱ戦｡逆転勝ちして郎平監督がｺｰﾄを去るときには観客席から｢郎平!｣と声援もあがった｡遼寧省からきた肖洋さん(30)は｢郎平がいるから米国を応援した｡中国にも外国人ｺｰﾁがいるし､お互いさまだ｣｡

郎平監督は中国女子ﾊﾞﾚｰが初めて金ﾒﾀﾞﾙに輝いた1984年のﾛｻﾝｾﾞﾙｽ大会で主砲を務めたﾋﾛｲﾝ｡中国人は米国が他国のﾁｰﾑと対戦した時は､監督への親近感から米国を応援する｡だが､直接対決で中国が負けると､途端に雰囲気が変わった｡

｢中国に勝ってどんな気持ちか｣｡15日､胡錦濤国家主席が観戦する中､中国は米国に2-3で負けた｡試合後の会見で大挙して駆け付けた中国人記者からこんな質問が飛び出した｡郎平監督は｢中国でも､ｷｭｰﾊﾞでも試合は同じ｡個人的な感情はあまりない｣と抑制気味に答えた｡

｢郎平は裏切りものか｣｡あるｲﾝﾀｰﾈｯﾄ上の投票では｢裏切り｣(25%)との声が｢裏切りではない｣(13%)を上回った｡ただ中国もｼﾝｸﾛﾅｲｽﾞﾄﾞｽｲﾐﾝｸﾞの井村雅代ｺｰﾁを始めﾊﾞｽｹｯﾄ､ﾎｯｹｰ､ﾌｪﾝｼﾝｸﾞなど外国人ｺｰﾁは多い｡｢米国ﾁｰﾑを率いるのは中国人の誇り｣といったﾈｯﾄ上の書き込みも多い｡

ただ中国では､選手は政府が巨額の資金を投入して挙国体制で養成する“国有資産"との意識が強い｡｢税金で育てたのだから中国のために奮闘すべきだ｣との批判も出ている｡

08月20日(水)17:16

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