小学校から選抜、養成校へ 中国「金」量産の舞台裏
平均台で華麗な宙返りを決める8歳の少女。16歳で身長2メートルに迫るバレーボールの男子選手。北京市内には、こうしたスポーツエリートを養成する学校が6カ所ある。北京五輪で金メダル獲得数1位が確定した中国の、メダリスト量産の舞台裏を探った。

「1日に7時間練習する。つらいよ。でも夢があるから」。養成校の一つ、什刹海体育学校でバレーボールの練習に明け暮れる張紳君(16)は既に身長が194センチもあるが、まだまだ伸び盛りだ。練習ではネットのはるか上から強烈なスパイクを次々にたたき込む。

全寮制の同校での生活は既に7年。両親と会うのは週に1回だけだ。それでも「次のロンドン五輪には必ず出場するんだ」と目を輝かせる。連日テレビで見る中国選手の活躍がやる気の源だ。

中国では競技ごとに小学校から重点校があり、そこから養成校へ、さらに国家チームへと選抜される。北京の場合、重点校で競技する生徒は計8000人、養成校は計2600人だが、国家チームは100人の狭き門。各省などでこうしたピラミッド構造がつくられ、選手が選び抜かれる。

選抜方法も厳しい。養成校に入る時点で、体操選手なら立った姿勢で両ひざの間にすき間がある子は即失格。両親の面接もあり、バレーボールなら両親の身長が低ければ駄目だ。

北京五輪で同校出身者は、卓球女子団体とシングルスを制して2大会連続の2冠に輝いたエース張怡寧選手ら8人が代表入りした。シンガポール卓球女子のリー・ジャウェイ選手ら外国の代表にも3人が入っている。

北京市も支援に余念がない。別の養成校、芦城体育運動技術学校には昨年、約7000万元(約11億2000万円)をかけて屋内ホッケー場を新設した。準決勝でアテネ五輪優勝のドイツを破り、初の銀メダルを手にした女子の主力2人はここで練習した選手で、早速成果も出ている。

北京市体育局当局者は「これまで中国は米国やオーストラリアに多くを学んで来たが、今は他国も中国から学ぶことがあるのではないか」と余裕の笑顔を見せた。(北京、共同)

08月23日()09:03
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