挙国一致のイメージ作戦 開会式「偽装」内外に波紋
花火の合成映像、少女の歌声の“口パク"、少数民族代表のはずが漢民族-。北京五輪開会式で数々の「偽装」が判明、内外に波紋を広げている。“口パク"は最高指導部メンバーの指示に基づいていたことも分かり「挙国一致」のイメージ作戦が背景にあることが浮き彫りになってきた。

「仕方がなかった。(共産党)中央政治局指導者の意見があった」。開会式の音楽を担当した中国の著名作曲家、陳其鋼氏は、リハーサルを見た党指導者の指示で、画面の少女と違う少女の声を充てたことを北京のラジオ局に“告白"した。

「完ぺき」な容姿と「最も美しい声」をそれぞれ持つ2人の少女。北京五輪組織委員会の孫偉徳新聞宣伝副部長は「責任者が最高の組み合わせを選んだ」と説明する。しかし、1人の少女が歌ったと信じ、華やかな開会式に目を見張った世界の観衆は「フェイク(偽装)」(英紙)に一杯食わされた格好だ。

一方、中国国内では口パクや花火の合成映像について「結果的にすばらしい演出。何を目くじら立てるのか」(20代の映像編集者)との声も。公安関係者は「中国の大きな大会の演出では“口パク"は一般的。批判する人は中国の国情を知らない」と反発。さらに「外国メディアは中国に対し(おとしめようとの)意図があり警戒しなければならない」(北京の大学教師)と「ナショナリズム」の影もちらつく。

中国社会の「偽装慣れ」を指摘する声も。北京の大学教授はウェブ雑誌への論文で「学歴、証明書、数字、ニュース-。あらゆる分野で毎日のように偽造が行われている」とし「事件は国の恥。国家のメンツと偽造が中華民族を滅ぼす」と懸念を示した。

反響の大きさを気にした中国当局は“口パク"など偽装に関する報道を控えるようメディアに指示。国内での報道はほとんど消えた。陳氏のインタビューも一部ウェブサイトに転載後、削除。北京のフリー記者は「当局者はニュースと宣伝の境界が分からなくなっている」と批判。中国伝媒大学の宮承波教授(メディア論)も「開会式は映画でないのだから偽装はせず真実に重きを置くべきだった」と指摘した。

中国誌の幹部は「昔ながらのばからしいやり方を国際的な大イベントでやったから海外から批判を浴びた。中国国内では何も驚くことではない。個人の尊厳を無視し党のメンツを優先させる共産党の古い体質がそのまま表れた」と話す。

国を挙げての「政治運動」(反体制活動家)の側面を持ち一つのミスも許されない五輪。「世界の祭典」であるはずの開会式は「中国の祭典」の振り付けにこだわり、「一つの世界」のスローガンと裏腹に中国の異質さを世界に印象づけてしまった。(北京、共同)

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