「僕は稲妻ボルト」 記録破りの世界最速男
北京五輪の陸上男子100メートルと200メートルで衝撃的な世界新記録を樹立し、24年ぶりの短距離2冠を達成した「世界最速男」のウサイン・ボルト(22)は気さくで優しく、愛嬌(あいきょう)にあふれた好青年だ。
20日の200メートルで「不滅の記録」といわれたマイケル・ジョンソン(米国)の世界記録を破ると、超満員の観衆の前で腰をくねらせるダンスを披露し「自らの誕生日(21日)を祝った」。記者会見にはスタート前と同じ弓矢を射るお得意のポーズで登場して笑いを誘い、ジョンソンが「スーパーマン」と呼んだと聞かされると「僕の名前はボルト。ライトニング(稲妻)ボルトだ」と陽気に受け答えた。
自分のレース映像を見ながら「こいつは速いな。かっこいい」とおどけたと思えば、競泳で1大会史上最多の8冠に輝いた「水の怪物」マイケル・フェルプス(米国)との比較を聞かれると「彼は水の中で僕は陸上。比較はしたくない」とまじめな一面ものぞかせた。
一躍スターダムにのし上がったボルトについて、母のジェニファーさんは「もの静かでのんびり屋の性格」と説明する。プロの陸上選手になって初の賞金でもらったプレゼントは「彼が走る姿のパネル写真」だった。ジャマイカでは既にボルトのグッズが売られる人気ぶりで、世界新を祝うレゲエの曲も誕生した。
会見では100メートルと200メートルとの比較を問われ「100メートルはレースに勝ちたかっただけ」と残り20メートルで流した理由を説明。「200メートルは高速トラックで世界新を出すチャンスがあるので狙った。世界ジュニアで最年少優勝した15歳から愛する200メートルでの金メダルは自分にとって大きな意味がある。2冠のメダルをゆっくり味わいたい」と笑顔を見せた。
地元特産のヤムイモが大好物。200メートルのレース当日は100メートルと同様の過ごし方をしたようで「お昼ぐらいに起きてマッサージ師にナゲットを買ってきてもらい、競技場でさらに1個。コーチがたくさん食べるなと言うから2個だけにした」と、とぼけた調子で笑わせた。母国の首相から祝福の電話もまた入ったという。
目下の趣味は「家庭用ゲーム機」。海外遠征のたびにソフトを購入し「ほぼ全種類持っている」と得意げだ。サッカーはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドが大ファン。196センチの長身を生かしてバスケットボールもプレーし、NBAのアレン・アイバーソンがお気に入りだ。
高温多湿のカリブ海の島を愛し、寒さが大の苦手な男は「いつかビジネスでも世界に挑戦したい」と将来の青写真を描いている。(共同)
08月21日(木)10:15
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