02/13 16:21

ソルトレークシティー冬季五輪で12日に始まったリュージュ競技の女子1人乗りに、ユニークな2人が挑戦した。
カリブ海に浮かぶ島国、米領バージン諸島から、66年ぶりに冬季五輪の女子選手の最年長記録を更新した48歳のアン・アバナシー選手と、そり系女子では珍しい黒人選手のダイナ・ブラウン選手だ。
「ナガノの時も、全競技を通じて最年長だった。
自分の記録を更新したのよ」。
1936年のガルミッシュパルテンキルヘン五輪(ドイツ)で、スキーのアルペン複合に45歳で出場したエドウィーナ・シャミエ(カナダ)の最年長記録を更新。
“リュージュおばちゃん"のあだ名を持つ、アバナシーさんはこう言って豪快に笑った。
かつてはナイトクラブに出演していた歌手。
ラム酒を輸出する、亜熱帯の島国に、もちろん氷のコースなどない。
競技を始めたのも33歳と遅く、チームのTシャツやピンバッジを売りながら遠征費を集め、コースのある国へ出掛けては練習。
ワールドカップ(W杯)も転戦している。
一方、32歳のブラウンさんは、アバナシーさんの後継者ともいえる“若手"だ。
黒人としての出場に「すごくプレシャーを感じる。
チャレンジだわ」と実感を込めた。
2人とも、昨年1月の同じ大会で大けがをした。
特に、アバナシーさんは転倒してコースから飛び出し、頭を強打。
それでも、驚異的な回復力で、10月にはレースに復帰し、「最初のカーブを回ったとき『これがわたしがやりたいことだ』と思った」--。
初日の前半を終え、アバナシーはさんは27位、ブラウンさんは途中棄権の1人を除けば最下位の28位と、成績はいまひとつ。
しかし、競技への意欲は一向に衰えてはいない。
4年後のトリノ五輪では、52歳となる。
これが最後?と問うと「最後なんて言わないわ。
言ってもだれも信じないから」。
しかし、後輩と目と目を合わせ、「次はダイナの五輪よ」とも。
2人の間で、引き継ぎが行われたのだろうか。
その答えは4年先まで分からない。

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