02/17 09:02

最後の直線。
きれいにならされた雪の上を最初に滑ったのは、またしてもビョルンダーレンだった。
バイアスロン男子12・5キロ追い抜き。
ノルウェー応援団が歓喜する中、両方のストックの先端を天に向けゴール。
この競技で五輪史上初の3冠達成の瞬間だった。
雪上のメダルハンターから、いつものはにかんだ笑みがこぼれた。
「楽しむことが一番、と思っていた。
スキーはパーフェクト。
自分でも驚いている」。
28歳の王者が五輪で射止めたメダル数は、長野大会の2つと合わせて5となった。
序盤はスリリングな展開だった。
この日のスタートは、13日に行われた10キロのゴールタイムにより、差がつけられている。
ビョルンダーレンは2位よりも29秒早く、飛び出した。
しかし、1回目の伏せ撃ち。
1発目をいきなり外し、差は17秒に縮まる。
グロス(ドイツ)らが猛追したが、続く2回、計10発をすべて命中。
「追いつかれるとは思わなかった」と、余裕を見せた。
練習の虫だ。
「毎日練習しないと落ち着かない」というほど。
スキーを全力で滑った後、心拍数が毎分180-190まで上がった状態で射撃に入る。
過酷な状況に耐えるため、五輪に向けて、イタリアの標高約2000メートルの高地でトレーニングを積んできた。
20日のリレーで4冠への夢も膨らむ。
しかし、本人は「他の選手も調子がいい。
出なくてもがっかりしないよ」。
周囲の盛り上がりを、さらりとかわした。

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