02/21 10:08

無情の雪が、氷上に降り積もった。
スケルトン転向10シーズン目、37歳にしてやっとつかんだ五輪の舞台は、越に厳しい試練を与えた。
五輪前の不振から復調した滑りを見せた。
だが、8位入賞が精いっぱいだった。
「雪(の影響)はありましたが、不利な条件を味方に付けられなかった」。
レースを終えた日本の第一人者は、天候を恨むことはしなかった。
1回目は15番スタート。
14人が滑る間に雪が積もり、その上を滑るとスピードが鈍る。
さらに、越は76キロと外国勢より体重が軽く、積雪による減速の影響を受けやすい。
越は、氷と接する滑走部(ランナー)を雪用に対応し、1回目は6位につけた。
2回目。
雪は弱くならなかった。
本来の美しいコース取りで攻めたが、後半タイムを伸ばせず、ゴールした時点で4位。
メダルの夢は消えた。
「パーフェクトな滑りだったのに。
これが現実。
がっかりした」。
全力を出し尽くした満足感と、力の限界を痛感した複雑な思いが交錯した。
昨季のワールドカップ(W杯)総合2位。
メダル候補と期待がかかった今季は、外国勢の壁に自分の滑りを見失った。
だが、今季最後のレースとなる大舞台で、1月から取り組んだ柔らかい滑りをやっと発揮し、夢の五輪が終わった。
「幸せだ。
金メダルを取ったら幸せすぎるから取れなかったのかな」。
実感を込めて、こうつぶやいた。

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