02/24 18:57
男子500メートル決勝に出た5人の中で最後にゴールした寺尾は、リンクから引き揚げると「(五輪)3回目に神聖な決勝を味わえて最高。
こんなにすばらしいとは…」と目を真っ赤にして言った。
目に浮かべたのは悔し涙ではなく、うれし涙だった。
8年前のリレハンメル大会の1000メートルでは、決勝に進めなかった。
4位という成績は、失格者などが出て繰り上がっての結果だ。
前回の長野五輪も、個人種目では1000メートルの準決勝進出が最高だった。
今大会も、1000メートルは疑問の残る判定で失格となり、1500メートルでも失格と、いずれも準決勝で敗退。
「ずっともやもやがあった。
今朝も不安だった」という。
だがこの日は、いざ滑り出すと、体が軽く感じられた。
準決勝のラスト1周。
カーブでオーノ(米国)に押されて転倒した。
オーノは失格。
これは寺尾が誘い込んだ反則だった。
氷すれすれに体を傾ける寺尾の技術に「わずかなすき間もなく、行き詰まった」と、オーノは音を上げた。
寺尾の真骨頂だった。
救済されて待望の決勝へと進んだ。
会心の準決勝をクライマックスととらえるように「最後に僕らしい滑りができた」と穏やかな表情で言った。
西谷の長野五輪優勝について「僕が日本初のメダリストになりたかった。
悔しかった」と打ち明けたことがある。
「きょうは(決勝に残れなかった選手を)うらやましがらせることができた」と笑った。
8年越しの努力が報われた。
今後について「4年後まではたっぷり時間があるし、ゆっくり考えさせてもらってもいいかな」と話す。
川上監督は「スケート界から逃がさないようにしたい」と、かけがえのないエースを温かい視線で見つめた。
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