02/24 19:51
長野五輪で男子500メートルの頂点に立った後、西谷には見上げられる者としての自覚が芽生えた。
「人間的に成長したい」と思い続けてきた23歳の前回覇者は、電光掲示板には表れない“強さ"を感じさせた。
準々決勝は1人が2度のフライングで失格となり、3人でスタート。
序盤は先頭に立ったが、1人、また1人とあっさり抜かれ、敗退した。
昨年末に左足首を骨折し、1度は絶望視された。
大変な苦境から挑んだ五輪だったが、西谷は一切言い訳をしない。
「けがをしたから駄目だったとは言わせないレースができた」と胸を張った。
「足に違和感はない。
もっと技術があれば抜かれなかった」骨折後に初めてスケート靴を履いたのは1月19日だった。
足首はまだ大きくはれて硬く、自分では横に曲げられなかった。
川上監督は「本来の西谷だったら、もう少し足を開いて(相手を)ブロックできた」と敗れたレースを評した。
西谷に、悔しさがまったくないといえば、うそになるだろう。
足に自由が利けば、展開は違っていたはずだ。
西谷は敗れた。
しかし、まるで今後に弾みをつけるように「最高のスタートができたし、やっぱり良かった」と前向きに笑った。
とても敗者とは呼べない堂々とした表情だった。
記事一覧