02/25 10:38

3点リードで残り30秒を切ったあたり。
スタンドからカナダ国歌の大合唱が沸き起こった。
ルミュー(ペンギンズ)、サキック(アバランチ)、カリヤ(マイティダックス)、ブロデュール(デビルズ)…。
北米プロリーグ、NHLのスター集団が、アイスホッケーの発祥国に50年ぶりの五輪金メダルを呼び戻した。
第1ピリオド8分過ぎに先制されたが、すかさずカリヤのゴールで同点。
その後は終始主導権を握り、3-2で迎えた第3ピリオド終盤に、イギンラ(フレームズ)とサキックの連続ゴールで勝利を決定づけた。
「彼らはこの競技に対してものすごいプライドを持っている」と米国の主将チェリオス(レッドウイングズ)が言ったように、明暗を分けたのは執念の差に見えた。
プロとして巨万の富を手にしたスーパースターたちが、米国のシュートをブロックするためには、身を呈することも辞さなかった。
カナダ人のアイスホッケーへの思い入れは計り知れない。
1400ドル(約18万9000円)のチケット代を含め、1泊2日のソルトレークシティー旅行のために5000ドル(約67万5000円)を費やしたという中年の男性ファンは「このゲームはカナダが発明したんだ。
おれたちにとっては、まるで初恋の相手のようなもの。
お金のためにやる米国とは違う」と喜びの声を張り上げた。
米国が放った33本のシュートのうち、31本を止めて勝利に貢献したGKブロデュールは「この金メダルで、カナダが世界におけるアイスホッケー大国であることを改めて証明できた」と胸を張った。
1年半前。
金メダルの奪回が至上命令だったチームの強化責任者に抜てきされたのは、NHL史上最高の選手と言われるウェイン・グレツキー氏。
大役を無事に終えた同氏は「カナダ国民は長い間、この瞬間を待っていた。
西海岸から東海岸まで、今はお祭り騒ぎに違いない」と、しみじみとした口調で話した。

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