スペインのイエロ
驚きのハットトリックだった。
3月24日のスペイン1部リーグ。
タレント軍団のレアル・マドリードを後方で支えるスペイン代表DFイエロが、サラゴサ戦で決定力も見せつけた。
1点目はジダンのCKを押し込み、2点目はPKを確実に決めると、1点差の後半35分にとどめのゴールを冷静にけり込んだ。
「イエロのすごい才能を見せつけられた」とデルボスケ監督は舌を巻いた。
1989年のポーランド戦で代表デビュー。
187センチ、84キロの体格をフルに生かし、衰えてきたスピードを激しい守備と空中戦の強さ、読みの鋭さでカバーする職人気質のセンターバックだ。
いかつい風ぼうとDFのため派手さはないが、ロングシュートやFKも武器。
代表で83試合に出場し、27ゴールは同国の歴代最多得点。
精神的支柱として主将を務め、ラウルら攻撃力が売り物の「無敵艦隊」を攻守に引っ張っている。
2月のポルトガル戦はけがのために外れたが、3月のオランダ戦で復帰。
4度目のワールドカップ(W杯)に向け、ベテランらしくコンディションも上げてきている。
「W杯はいつも難しい。
1次リーグの組み合わせがラッキーとも思わないし、注意を払うことが必要だ。
どんなレベルでも1試合1試合勝ち進むことが大事なんだ」。
34歳と年齢的に最後のW杯となる。
スペイン語で「鉄」を意味するイエロは、堅い意志と守りで母国を悲願のW杯初制覇に導く。
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