韓国の安貞桓

隣国の創造力あふれるMF「ナカータ」の記憶が残っているイタリア1部リーグ(セリエA)ペルージャに渡り2シーズン目。
黒い長髪。
26歳の韓国人アタッカーは、地元からビッグクラブに巣立った日本選手、中田英寿と最初から比較される運命にあった。
昨季は4ゴール。
今季はまだ1ゴール。
ベンチを温める日々が続く。
それでも安貞桓の生来の攻撃本能は欧州の本場で研ぎ澄まされこそすれ、さび付いてはいなかった。
それを証明したのが久々の韓国代表合流となった3月の欧州遠征。
フィンランド戦で攻撃的MFの位置で先発起用されると、周囲とのコンビ不足をものともせず、個人の能力で局面を打開。
再三、相手ゴールを脅かした。
攻撃力不足に悩むチームの明るい希望となった、はずだった。
しかし、ヒディンク監督の遠征後の評価は微妙だった。
むしろ同ポジションでテストされたパスの出し手の尹晶煥(C大阪)を高く評価。
いわゆる「司令塔」はいらない、としてきた路線の修正をほのめかした。
「個の力」で勝負するスタイルが、監督の好みに合わないとの見方もある。
「(自分の役割を)監督ともう少し話し合いたい」と語る。
大部分が国内、日本でプレーする韓国代表の中で、連係面では不利な立場にある。
それでもワールドカップ(W杯)の修羅場でこそ、欧州のトップリーグではぐくまれた「個」と「経験」が必要とされるだろう。

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