イタリアのトッティ
甘いマスク、首筋になびく髪。
華麗な風ぼうを持つトッティ(25)は人気、実力を兼ね備え、イタリアの「王子」と呼ばれる。
攻撃的MFとしてチームを引っ張り、1982年のワールドカップ(W杯)スペイン大会以来、4度目となる優勝の期待を担う。
ここ数大会、イタリアはエースが悲運に見舞われている。
94年は、ロベルト・バッジョがブラジルとの決勝でPKを外し、98年はデルピエロが故障により力を発揮できずじまい。
だが、トッティは違う。
少なくとも、そう思わせる何かがある。
創造性あふれるパスを出せるうえ、ストライカーとしてもプレーできる。
何より、そうした才能を精神的強さが支える。
代表で現在の地位を築くきっかけになった2000年の欧州選手権。
オランダとのPK戦では、GKをあざ笑うかのように山なりのボールをけって決めた。
キッカーとなる同僚には冗談を飛ばし緊張をほぐしたという。
「舞台がどこでも普段と同じようにプレーできる。
自分の実力を確信している」と言い放つ。
倒されるとうまくアピールしFKを得る。
そんな狡猾(こうかつ)さも備え、周囲を自身のペースに巻き込んでしまう。
所属するローマで、ポジションが重なった中田英寿(パルマ)を寄せつけなかったのも、うなずける。
イタリアのベースは、カテナチオ(かんぬきの意味)と呼ばれる堅い守り。
そこに「王子」がどんな攻撃力を加えるのか、世界が注目している。
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