アルゼンチンのベロン

自身2度目のワールドカップを目前に控え、フアンセバスチャン・ベロン(27)は複雑な心境だろう。
アルゼンチンを攻守に支えるMFには、W杯の舞台でイングランドと繰り広げてきた“因縁"がつきまとう。
丸刈りに口ひげを蓄えた独特の風ぼうで、ダイナミックに中盤を走り回る。
最大の持ち味は右足から放つ正確なキック。
長短のパスを使い分け、FKではミドルレンジから得点を狙う。
今回の南米予選では16試合5得点の活躍だった。
昨夏、ラツィオ(イタリア)からマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)へ移った。
移籍金は2810万ポンド(約53億7000万円)。
その価値は金額に表れ、クラブでは頂点に駆け上がった。
だが昨年12月のW杯1次リーグ組み合わせ抽選で、状況が変わった。
アルゼンチンとイングランドが同じF組に決まったためだ。
4年前のW杯フランス大会決勝トーナメント1回戦でも対戦し、ベロンもPK戦の末に勝ったピッチに立っていた。
ベッカムの退場が物議を醸した試合でもあった。
現在イングランドを率いるエリクソン監督は、ラツィオ時代にリーグ制覇を成し遂げた間柄だ。
そしていまはクラブの同僚で、イングランドのエース成長したベッカムが4月10日に左足甲を骨折したのはアルゼンチン人DFの危険なタックルが原因…。
因縁は枚挙にいとまがない。
英国では周囲がかまびすしい。
それを振り払うように「自分の仕事に最善を尽くす」と話す。

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